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斎藤 保; 馬場 信一; 衛藤 基邦
JAERI-Research 99-070, p.21 - 0, 2000/01
次世代の高性能材料の一つとしてC/C複合材料は原子力の分野でも注目されている。この材料のもつ軽量で機械的強度が高く、優れた熱特性を示すという利点は主原料となる炭素繊維の特性を生かしたもので、繊維を改良することによりC/C材の機能性をさらに高めることができる。本研究は炭素繊維の高性能化に必要な基礎データを得ることを目的としたもので、繊維の引張特性に及ぼす加熱処理温度の影響を検討した。最高2800までの所定の温度で加熱処理したPAN系繊維について引張強度とヤング率の変化を測定し、同繊維の熱処理にともなう結晶構造の変化との関係を検討した。その結果、炭素繊維のヤング率の増加を結晶子の配向性の変化と関連づける既存のモデルを改良したほか、繊維の破断強度の低下に及ぼす結晶成長の影響について論じた。
大道 英樹
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 105, p.302 - 307, 1995/00
被引用回数:18 パーセンタイル:83.3(Instruments & Instrumentation)イオンビームを利用した有機機能材料の創製に関しては、目的とする機能に沿ったポリマーの合成とイオンビームのエネルギーの選択が重要であることを強調し、これまでの当研究室の研究の中から2例を紹介した。まず、放射線に対して感受性の高い樹脂として知られるCR-39に核種あたり11.4MeVの高エネルギーの重イオンビームを照射して多孔膜としたのち、当研究室で開発したゲルを孔の部分に化学結合させた。その結果、ゲルの示す体積相転移温度を挟む0Cと60Cとの間で孔のサイズを再現性よく変化しうることを示した。次に、非線形光学性の期待されるジアセチレン化合物についてLB法により多層膜としたのち、数keV程度の低エネルギーのイオンビームを照射すると折れ曲がった構造から伸び切った構造に配置を変えつつ重合し、結果的に配向性の揃った薄膜が得られること及びこの薄膜が3次の非線形性を示すことを明らかにした。
斎藤 保; 今井 久
炭素, (127), p.178 - 182, 1986/00
多結晶黒鉛の熱膨張係数を単結晶の値と各結晶子の配向性で表わし、前者の格子膨張係数に気孔による緩和を加えたモデルがある。そのモデルを10銘柄の原子炉用黒鉛について検討し、熱膨張係数の近似式を改良した。従来の式では、格子膨張係数が素材の熱膨張に寄与する割合、すなわち「緩和係数」が温度に依存しないと仮定している。しかし、室温から900Cまでの実験結果ではこの仮定はなりたたず、緩和係数は温度とともに増加した。一方、新しく提案した近似式は、格子膨張係数の緩和率ではなく緩和量を一定としたもので、900Cまでの全温度領域で実測値と一致した。
菊池 輝男; 辻 宏和; 井川 勝市; 石本 清
JAERI-M 83-179, 27 Pages, 1983/11
被覆粒子の熱分解炭素層の異方性を測定するために開発された光学異方性測定装置を用いて、燃料コンパクトのマトリックス材中の黒鉛粒子の配向性(OPTAF)を測定するとともに、同じ材料についてX線回折法によりBAFを測定した。その結果、燃料コンパクト用マトリックス材の異方性を、光学的に測定できることかわかった。
菊地 章; 岩本 多實
Journal of Nuclear Science and Technology, 12(3), p.174 - 180, 1975/03
被引用回数:0コンパクトマトリックスのヤング率を超音波伝播法によって室温で測定した。特に、ヤング率の計算に用いられる伝播速度について、それへの密度および配向性の影響を求めた。また、マトリックスを構成する黒鉛粉末の結晶子径をX線回折で、さらに形状を走査型電顕によって求めた。マトリックスのヤング率はバインダー含有量とともに増大し、また、石油コーク系黒鉛-天然黒鉛混合マトリックスでは天然黒鉛の含有量の増加とともに減少する。伝播速度は異方性試料(針状黒鉛系)では密度および配向性に依存し、等方性試料(微粉等方質黒鉛系)では密度のみに依存する。伝播速度の増分(V)と密度および配向性の増分(およびIR)の間の関数はV=a(),V=b(IR),でしめされ、ここにa、bおよびnはコンパクトマトリックスの特性に依存する定数である。
菊地 章; 岩本 多實
JAERI-M 5877, 22 Pages, 1974/10
燃料コンパクトおよびコンパクトマトリックスのヤング率が、超音波伝播法により、室温で測定された。一方、コンパクトマトリックスの密度と配向性および黒鉛粉末の結晶子径が実験用試料を特性づけるために求められた。ヤング率は無定形炭素の含有量とともに増大し、混合黒鉛系PCG-NGでは天然黒鉛の量が増すにつれて減少する。ヤング率の計算で用いる伝播速度は、異方性試料では密度および配向性に依存するが、等方性試料では密度のみに依存することが判った。